amazon.co.jpでは発売前に予約が出来ない状態で、今日時点でも購入が出来ないという非常に人気の高い本。
それが「帝国海軍 駆逐艦 総ざらい」です。
近所の書店には在庫がありましたので、買ってみました。
時系列かつ細かく取り上げられている兵装
まず最初に駆逐艦の兵装が掲載されています。
作図と写真を織り交ぜ、該当する汎用パーツまで紹介されています。
コーナー最初のページにありますが、駆逐艦のパーツに含まれていて汎用パーツがないものについては最小限の紹介に留められています。これはちょっと残念です。
これだけ細かい資料があると、1/700に限らず、1/350モデルを製作する際にも役立つのではないでしょうか。
1/700のキット総合ガイド付き
「艦船模型データベース」を購入された方(私もですが)は不要かも知れませんが、1/700の駆逐艦キットが艦型別に紹介されています。
但し、絶版になっているものや限定キットは省かれているとのことです。
それでも各社のキットが掲載されているので、充分なデータベースになっています。
もちろんですが「艦船模型データベース」の方が詳しく紹介されていますので、これで興味を持たれたら「艦船模型データベース」を手に取ってみるといいかと思います。
非常に程よいボリュームで充実している作例
作例は非常に程よいボリュームですが、非常に細かく紹介されています。
この切り口で紹介された作例は私が艦船模型を作り出したここ2年くらいでは見たことがありません。
また、ほぼ全ての作例に「素組み」のものが掲載されています。全体像だけではなく、部分的にも素組みとディテールアップしたものが誌面で比較できます。これはとても分かりやすくていいですね。
本の魅力を損なわない程度に、ちょっとだけ細かく紹介します。
ハセガワ 1/700 夕雲型「朝霜」
1/700 「朝霜」です。こちらは1つのキットのディテールアップを4つのケースに分けて、それぞれの作例を紹介しています。
1.素組み
2.塗装を工夫
3.小規模工作
4.更に工作
それぞれのケース毎に塗装の違いやディテールアップの違いを解説しています。
但し、3.や4.の例でもエッチングパーツは使っていません。あくまでランナーや紙などを使ってディテールアップを行っています。
ので、非常にやりやすいと思います。
塗装に関する解説は非常にためになりました。塗装だけでもここまで出来るんですね。
アオシマ 1/700 初春型「初春」
サラリーマンの方は必見かもしれません。
1/700 「初春」です。
ここでは「サラリーマンが実現出来る”現実的な精密度”」ということで、初春を製作しています。その指標は「時間的にも金銭的にもサラリーマンが現実的なレベル」ということだそうです。
それでもマストを真鍮線にしたり、エッチングパーツで手すりを付けたり、と少々細かい工作を行っています。
マストについては真鍮線の太さを変えたものを並べて比較しています。こういった比較が多いのもこの本の特徴でしょうか。
タミヤ 1/700 島風型「島風」
「艦隊これくしょん」では大人気の「ぜかまし」こと「島風」です。
タミヤのキットがベースになっていますが、このキット、初版から40年以上が経っているというかなりの長寿キットです。
ですので、まあ合わせ目がきつかったり、ディテールが浅かったり、となかなかきつめのキットです(相方が作りました)。
このキットをディテールアップによって素晴らしいものにしています。
それだけではなく、次のようにディテールアップの密度を段階的に上げていく、という手法でディテールを上げる流れを分かりやすく紹介しています。
1.完全な素組み
2.同梱のXパーツを使用
3.「艦船装備セットV」を使用
4.フルディテールアップ
特に4.フルディテールアップの例では使用した別売りパーツが一覧で紹介されていて、同じようなことをしたいと思ってもやりやすいと思います。
これを見ると私も島風を作ってみたくなります。
ビットロード 1/700 「吹雪」「綾波」「雷」を使用して・・・
この作例はちょっと変則です。
キットとしてはビットロードの「吹雪」「綾波」「雷」を使用します。
作成したのは「吹雪」「綾波」そして「暁」です。
テーマは「実物の構造を意識して特型を作り分ける」。
キットはいずれも2007年に発売したので比較的新しいものです。エッチングパーツも純正のものを使っています。
この作例では船体などをかなり加工しています。ですので比較的上級者向けの例になるかと思います。
ただ、完成形を見ると「おぉー」と思ってしまう出来です。
いつかはこういうものを・・・
フジミ 1/700 陽炎型「雪風」
こちらはキット自体も非常に精密なのですが、更に純正のエッチングパーツを使い、丁寧に雑味なく仕上げています。
純正のエッチングパーツしか使ってないのですが、かなり精密さを増した完成形になっています。
また、丁寧に作ることで完成品の強度も増す、というコンセプトもあるようで、おもりの接着などにもアドバイスがあったりして、更にランクアップするのに参考になります。
各艦の変遷が図と表、写真で紹介
ここが読み物としては非常に面白いと思います。
各駆逐艦の変遷、全てではないですが図と表で紹介されています。
それぞれの駆逐艦について非常に理解が深まる内容になっています。
これから作り始める人にも、レベルアップしたい人にもお勧めできる一冊
私もそうなのですが、しっかりと考証を追いかけて作ることはなかなか難しいです。
資料集めから始まってキットと比較して・・・というのはかなり骨のある時間の掛かる作業です。
そこまでせずに、自分のレベルにあった製作方法を探る、という意味でもこの本はすごくためになります。
初心者は初心者なりに、中級者は中級者なりに、それぞれのレベルにあった活用方法がある本だと思います。
書店にはまだあるかもしれませんし、そろそろ増刷するのではないかと思います。
是非1冊。
ちなみに今月発売される空母編は絶対に買います。買ったらまたレビューします。
1/700艦船模型の作り方: Takumi明春の1/700艦船模型“至福への道”其之3 (ベ-シック編) (Takumi明春の1/700艦船模型“至福への道” 其之 3)
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