プラモデル製作を行っている人が必ず行き着く、もしくは一度は必ず使用を検討するのが「エアブラシ」です。
そして、エアブラシを検討すると必ずぶつかるのが「室内で吹けるの?」という問題。その問題を解決するのが「塗装ブース」です。
ここではそんなエアブラシを室内で使用するのに必須ともいえる「塗装ブース」を紹介しています。
※2021/7 リライト
改めて・・・塗装ブース って何ですか?
改めて、「塗装ブース」について解説してみます。
「塗装ブース」はエアブラシで塗装するときに使用します。
エアブラシは、塗料を霧状に噴射してプラモデルなどに吹き付けることで塗装していきます。
「霧状に噴射」しますので、少なからず、空気中に塗料が舞います。また、噴射した塗料は全てプラモデルに「塗布」されていくわけではなく、プラモデルにぶつかって「反射」する塗料も相当量あります。それらも空気中に舞います。
霧状になった塗料が空気中に舞うと、何もない状態ではそれら塗料を我々塗装を行っている人や同じ部屋にいる人たちが吸う可能性が非常に高くなります。それは非常に身体に悪いのです。
なので、塗装ブースを使って、空気中に舞っている塗料をフィルターで吸い取って、臭いを室外に出し、少しでも空気を綺麗にします。
塗装ブース、選択のポイント
塗装ブースを選ぶ時のポイントはいくつかあります。
自宅の環境などで優先順位は変わると思いますので、優先順位は抜きでポイントを上げてみます。
作動音
部屋に置くものですので、作動音は気になりますよね。
塗装ブースを検討されている、ということはエアブラシを所有している、または検討している、ということですので、そうなるとコンプレッサーの動作音も発生します。
私が住んでいるのはマンションの1階ですが、コンプレッサーと塗装ブースを一緒に動かすとテレビの音が聞こえにくくなるくらいの動作音はします。
コンプレッサーの下には防振マットを敷いたりしても、です。
ちなみに敷いている防振マットは下記、タミヤのものです。
塗装ブースの動作音、だいたい”50〜60db”の間くらいが多い印象ですね。
60dbで通常の会話くらいの音、とのことですので、これくらいならまあ許容範囲内でしょうか。
吸引力の高さ
塗装ブースの機能を考えると「吸引力の高さ」はとても大事です。
これはファンの仕組みが大きく関係してきます。
塗装ブースでは「シロッコファン」と「プロペラファン」の2種類が使われています。
これ、換気扇などでもこの2種類なので、いわゆる「空気を送り出す」ものはだいたいこの2種類のどちらかです。
それぞれのメリットやデメリットを上げてみると。
シロッコファン | プロペラファン | |
動作音 | 静か | うるさい |
吸引音 | 弱め | 強め |
掃除 | ファンの羽が小さく、大変 | ファンの羽が大きく、容易 |
ちなみに以下で紹介している塗装ブースでシロッコファンを使っているのはタミヤのみ、ほかは全てプロペラファンです。
サイズ
塗装ブース、小さいものではあリません。場所は思ってるよりも必要です。
その中でも大きいもの、小さいもの、たためるものなど、いろいろあります。
なので、常に起きっぱなしに出来るのか、設置場所広めに取れるのか、などでサイズを決める必要があります。
消耗品の手に入れやすさ
Amazonやヨドバシ.com など、最近では通販も充実していますので、昔ほど気にすることではないかも知れません。
が、塗装ブースという製品自体がそれほどメジャーな製品ではありません。
メーカーによってはフィルタなどの消耗品の入手が難しい場合もありますので、消耗品が手に入れやすいかどうかは気にしておくに越したことはありません。
中には100均などの商品で流用できるものもありますので、その辺りまで含めて検討してみるといいでしょう。
改造の余地(笑)
まあこれを検討材料の中に入れていいのか分かりませんが・・・・
塗装ブース、とはいっても側はプラスチックだったりしますので、自分でいろいろな改造も可能です。
中でもタミヤ製はいろいろ改造して使ってる人が多いようです。という私も改造していますが・・・・
特にフィルタの付け替えなどはマグネットで簡単に出来るようにしたり、空気の通りがよくなるように穴を開けたり、フードを広げたり。
すごい人になると「クワッド化」と言って、トイレなどでよく使われる筒状の換気扇を更に取り付けたりしています。
なので、改造の余地があるもの・・・全てそれなりにありますが・・・・を選ぶのもオススメです。
さて、ここからは個別に塗装ブースを紹介していきます。
塗装ブースでも1つの基準:
クレオス / Mr.スーパーブース (GTO3)
エアブラシやコンプレッサーではすっかりメジャーというか、選ぶ基準になっていると言っても過言ではないクレオスです。
お店で見た印象は若干華奢かな、と。しかし、これで充分、と言ってる人も多いです。
触ったりしてみると、やはり作りが雑というか甘いです。なので、自分で少し補強などを行った方がいいかもしれません。
作動音は結構大きいです。
ただ、ファンの動作音だけではないような音ですので、原因として考えられるのは本体の共鳴でしょうか。
前述した作りの甘さが影響しているかと思います。作りの甘さの部分で対策が取れれば、自然と音も小さくなるかもしれません。
吸い込みは結構強めです。タミヤのより吸引力は高いかも知れません。
以下のサイトで非常に細かい分析がなされています。参考まで。
ツール レビュー / GSIクレオス Mr.スーパーブース
【サイズ】幅620×高さ370×奥行き330(単位:mm)
【作動音】57db
ネイルなどで使われる少しオシャレな塗装ブース:
エアテックス / スプレーブース レッドサイクロン
これ、店頭で実物を見て、使ってみたことがあります。
吸引力は恐らく現在発売されているシングルファンタイプの塗装ブースではNo.1だと思います、かなり吸います。
その理由は単純で、シロッコファンではなく、プロペラファン(PC用ファン?)を使っている様子。
ただ、その分、静音性はかなり低め、うるさいです。なので、夜間作業が多い方や集合住宅の方にはオススメできません。
素材に問題があるようで、レビューにも書いてありますが、一般的な模型用シンナー溶剤で簡単に溶けてしまう、とのこと。その辺りは工夫が必要でしょう。
サイズは他のものに比べると奥行きが結構ありますので、設置場所も要注意です。
「折りたたんで持ち歩き」みたいなことが書かれていますが、実物見た印象としては「持ち歩きも収納も無理」です。
設置場所をきちんと確保しましょう。
音と設置場所が気にならなければオススメ出来る1台です。
【サイズ】幅420x高さ330x奥行き590(単位:mm)
本業向けの武骨な塗装ブース:
アネスト岩田キャンベル / マジカルサクション
「アネスト岩田」といえば、エアブラシ界隈では密かに有名なメーカーでもあります。
いわゆる「本業の方向け」のエアブラシを製造・販売している会社、と言えばいいのでしょうか。
そんな「アネスト岩田キャンベル」がリリースしている塗装ブースです。
こちら、実物は見たことないのですが、どうも前述したレッドサイクロン同様、シロッコファンではないようです。
なので、吸引力は高いけど、音はうるさい、とのこと。
皆さんが良い点として挙げているのは「収納できる」という点ですね。確かにコンパクトになりそうです。
また、回転台が付いているのもポイント高いですね。
音が気になりますが、私が次に買い換える時の候補の一つでもあります。
【サイズ】使用時:幅420x高さ340x奥行き595(単位:mm) / 収納時:幅420x高さ250x奥行き260(単位:mm)
【作動音】60dB (正面から 1m)
実際に使い続けた結果、塗装ブースと一緒に購入した方がいいもの
本命の塗装ブースを紹介する前に、今まで使ってみて、塗装ブースと一緒に買ってほしいものを挙げてみます。
やはり最初はこれですね。結構売れてます。
夏場は本当に冷気が外に逃げるのを防ぐために必須です。また、外からの風が入ってくるのを最小限に防ぐことができるので、せっかく外に追い出した臭気が室内に戻ることも非常に少ないです。
うちでも本当にこれは重宝しています。買ってよかった!
こちらはタミヤと口径が変わらないと思いますので、GSIクレオス製だけじゃなくて、タミヤにも使えます、使ってます。
このサイトからもかなりの数売れています。年間100個前後は売れてます。
で、こちらも売れてます。
排気ホース、長さが足りないケースも少なくないかと思いますので、そういう時はこちら。
さて、塗装ブースの紹介、続きです。
置き場が狭い方向け塗装ブース:
GSIクレオス Mr.スーパーブース コンパクト
これ、2017年の「全国模型ホビーショー」で見たのですが、確か吸気能力は「Mr.スーパーブース」のままでサイズをコンパクトにしたモデル、とおっしゃってたように記憶しています。
ですので、基本性能は上記「Mr.スーパーブース」と同じ、と思っていただいて大丈夫だと思います。
サイズはコンパクト。
幅が「スーパーブース」は620mmだったのが「コンパクト」になると370mmに。
そして排気口が上になったことでホースの取り回しがやりやすくなりました。
ただ、実物を見たところ、ブースのミストガードがちょっと狭過ぎる印象だったので、段ボールか何かで広げるなりの必要はあるかな、と思います。
正直、我が家でも37cmくらいの幅があれば充分なので、次の候補の一つです。。
【サイズ】使用時:幅370x高さ260x奥行き290(単位:mm)
【作動音】57dB
やはり 塗装ブース もタミヤ:
タミヤ / スプレーワーク ペインティングブースII シングルファン
やはり最後にご紹介するのはこちら、タミヤのペインティングブースです。
私が購入したのもタミヤ「スプレーワーク ペインティングブースII(シングルファン)」です。
買った当時はまだちょっと値段が高くて、ツインファンには手が出ませんでした・・・
もう3年使っていますが、掃除しながら順調に今でも使えています。長持ちします。
ただ、パワーの強いコンプレッサー(エアブラシ)を使うと、どうしても力不足です。
私は少しだけ改造して対応していますが、それでも・・・という感じ。
なので、私的にはツインファンをオススメしたい。
音についてはシングルファンはさほどうるさくありません。
数値的には50dBらしいけど、そこまでではない印象。設置場所などにも寄るのかもしれません。
なお、以後の「音」「吸引力」などの比較については、このペインティングブースIIのシングルファンを基準にしています。
【サイズ】幅400×高さ300×奥行330(収納時) / 幅400×高さ300×奥行き530(展開時)(単位:mm)
【作動音】50dB
※
現在、ツインファンにしました。
音はシングルファンのときより少し大きい程度、うるさい、というレベルまではありません。
吸引力はかなりアップしています。オススメ。
高級塗装ブースの火付け役 :
ガットワークス / ネロブース
いろいろと経緯があったのは承知の上でご紹介します。
何だかんだでこの形の塗装ブースの仕掛け人ですから。
憧れている人も多い「ネロブース」です。
いわゆる研究室などで有害物質などの排気で使われている「ドラフトチャンバー」という装置がベースになっています。
恐ろしいほどの吸引力とその割りに音が静かということで、50,000円を超える高額ながらかなりの台数を販売しています。
ちなみにサイトに行ってもほとんど「欠品中」で、Twitterなどで販売しているかを常にチェックしないとなかなか購入できません。
ネロブース互換とはっきり謳ってる珍しい商品:
互換屋 / 互換ブース
まさかの記事を書いている最中がメンテナンスというね・・・
確かガットワークスの協力を得て製造、販売していたと記憶しています「互換ブース」。
まさに「ネロブース互換」な感じです。
ネロブースに比べるとプラダン使ったりで削減している印象ですが、個人的にはフレームにしっかりアルミ使ったりしてるので、ネロブースよりもこっちの方が欲しかったりします、軽そうだし。
香坂きのさんの動画で組み立てる過程含めて紹介されていますので、興味ある方はこちらもチェック。
塗装環境をあまり選ばず使えるのは相変わらずタミヤ
皆さん、それぞれの塗装環境があるかと思いますので、できればご自身の塗装環境を考えて、この手の商品は選ぶのがいいかと思います。
個人的にはどんな環境でもおおよそ対応できそうなのはタミヤの「スプレーワーク ペインティングブースII」ではないか?と思っています。
場所は少々取りますが、丈夫ですので使わない時は畳んでおくことも可能です。
静音性も比較的高く、集合住宅であっても間取りによってはギリギリ夜間の作業はできそうです(深夜はもちろんダメですけど)。
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